近所の犬に噛まれた話2
真夜中のキッチンで、絶望感を身体全身で味わった私。
この痛い思いをした私の身体と、悲しかった私の魂を、絶対に置いてけぼりにはしないぞと誓った。
誰も気持ちを汲んでくれなくても、私だけは私を見捨てない。
話を狂犬病に発展させた。
日本では狂犬病のワクチンを飼い犬に接種することは義務であること。
発展途上の海外を旅するときも、人間もワクチンを接種することがあること。
さっき私を噛んだあの犬は飼い犬だけど、ワクチン接種しているかどうかわからないから不安だ。
そもそも日本には野良犬自体がほぼいないので、噛まれるなんて未知でほんとによくわからない(ほんとこれ、皆さんそうじゃないですか?)。
シリアスな顔でラオくんは言った。
「病院行こう」
え、でも医療費半端な・・
「病院行くよ!!」
はい。
ってなわけで、ギリシャに来て初めてとなる病院行きは、真夜中の救急外来。
独身最後の夜、まさかの犬に噛まれるというアクシデント。
0時のシンデレラ仮ワイフ。
嗚呼。
病院に行くと、名前を書き順番を待ちます。
数人ちらほらと患者さんいましたが、受付も看護師さんもみんなカジュアル。
極めつけは、病室にいたドクターだった。
どこからどう見ても大学生にしか見えず、喋り方もあまりにも簡単すぎる。
いや、なんというか・・・
友だち感半端ない( ゚д゚ )
「よっすNatsumi!どーしたの?
え、なに?犬に噛まれたって??
どれちょっと見せてみ?」
↑私の脳内変換、ニュアンスこんな感じ
馴れ馴れしさ100%( ゚д゚ )!!!
気が抜けた。
それまで、ラオくんの態度に絶望したまま悲しみと悔しさを背負ってシリアスな空気だったのに、
この大学生風ドクターのせいでおかげで、いい意味で気が抜けた。
さっきラオくんがお家で応急処置してくれたのよりも簡単な処置をしてくれ(いいのかそれで?)、
ラオくんが狂犬病について尋ねたところ、
「ギリシャ国内では近年じゃ症例がなく、キツネからの感染例しか発表されてないので大丈夫でしょう」
とのこと。
おいおい、そんな適当な回答で納得できると思ってんの( ゚д゚ )?
日本国内でも動揺するのに、海外だと尚更じゃ!!!
検査してよ検査!!!
と思っていたら治療は終了し、車を走らせた。
ちょ、、、
ちょ!!!
検査は!?
ラオくんに聞いたら、
これから薬局で薬もらって注射を打つらしい。
( ゚д゚ )!!!?
ますます混乱。
えーと、
Q1.薬局って今の時間(真夜中)開いてんの?
A1.市内で毎日1箇所だけ深夜も開けている薬局がある(交代で開けるのでランダム)。
Q2.それはどこ?病院で聞いたの?
A2.自分で調べるしかない、病院に聞いても知らないだろう。
Q3.なんで薬局で注射??病院で打たないの?
A3.ギリシャの薬局では注射を売っていて、薬局の人が打つのが普通。
( ゚д゚ )
かるちゃーしょーーっく!!!
独身最後の夜に、カルチャーショックはひたすらつづく。
日本人の私からしたら、どこの馬のホネかもわからん薬局の人に注射されるなんてたまったもんじゃない。
しかもなにその注射??
検査じゃないの??
どうやらこの注射、菌を殺す?解毒するそうで、こういう時に使われるものらしい。
狂犬病の検査なんてものはないのか?
私も狂犬病に対しての知識がなさすぎる上に、突然海外で犬に噛まれるなんて予想外でとっさに何も対応できない。
とにかく狂犬病に対しての不安を訴えるしかなかった。
そして処方されたこの注射。
(くっそ意味わからんけど)何もしないよりマシであろう。
(くっそ意味わからんけど)受け入れるしかなかろう。
(くっそ意味わからんけど)よろしくお願いします(合掌)。
薄暗い薬局に着き、おじさんに言われるがまま、奥の部屋に通された。
これ、ラオくんがいなかったら相当やばすぎる状況だ。
海外で薄暗い真夜中の薬局でおじさんと二人なんて、リアルホラーやん。
「じゃ、ちょっとお尻だして」
( ゚д゚ )!!!!????
もう一度おさらいしよう。
ここはギリシャの真夜中の薄暗い薬局の奥の部屋(”の”がいっぱい)。
おじさんが片手に注射を持っている。
このおじさんが突然「お尻を出せ」と言ってきた。
なにこの状況。
「いやだ( ゚д゚ )」
ととっさに答えたくらい、許容しがたい状況である。
どーしてもお尻じゃないとだめなのか?と聞いても、そうするしかなさそうだ。
(´;ω;`)
私は、泣く泣くお尻を差し上げた差し出した。
えーい私の祖先は侍のはずだ(何の根拠)。
侍魂わすれんじゃねぇ!!!
覚悟を決めた私のワンピースの裾を、ラオくんが持つ。
「Are you ready?」
くらいの掛け声くれると思っていたのに。
突然の激痛が私の右のお尻から全身を伝った。
「いってぇ!!!!!!!!!!!!(# ゚д゚ )」
心のヤンキー、火炎瓶を投げる思いだった。
心の準備もないまま突然刺されたので、
痛すぎて、漫画みたいに「ひぃっ!!!!!」と飛び上がった。
ちょっと動揺するラオくん。
(あとで聞いた話、ギリシャ語のare you readay?を私に翻訳する前に間髪入れずおじさんが注射をしたらしい。なので、ラオくんも少々びびった様子。)
これでおわりかと思いきやなんと、あと半分は左のお尻に注射するらしい。
(´;ω;`)!!!!!
私は大の献血好きで注射にまったく怯えはしないのですが、
まさか自分が独身最後に犬に噛まれ、未来の夫が気持ちを理解してくれず、真夜中の救急外来に行き、馴れ馴れしいドクターの処方により、薄暗い薬局を訪れ。
記憶にある中では初めて、おしりに注射をされているという事実。
左のお尻分の気力もエネルギーももうないわ。
(´;ω;`)
なんとかすべての処置を終え、
帰りの車内で私は泣きじゃくった。
「痛いし痛いし悲しいし悔しいし辛いし痛い!!!!!!」
↑とにかく痛いって言いたい。
この話を、翌日会ったあの翻訳に立ち会ってくれた日本人に話すと
「え!?怪我もだけど、狂犬病大丈夫!?」
ってすぐに言ってくれた。
この言葉がすぐに出てこないことに対して、ラオくんを責め立てるのは本当によくないと思う。
忘れちゃいけない。
日本人同士でもわかり合えないことのほうが多いこの世界で。
まったくバックグラウンドも環境も違う者同士が一緒になること。
国際結婚ってのは、そういうことであることを忘れてはいけない。
私は特に「感情や感覚」というものを大切にしたい人間で。
そして、わりと我が強い。
今思えば、の話ではありますが、
独身最後に犬に噛まれたこの出来事は、宇宙がくれたギフトと思っている。
お互いの育った環境、感覚、表現方法が違っているんだから、
いつもいつも、自分の思い描くような反応は幻想だということ。
ラオくんは私よりもとってもロジカルで、即言葉に出して表現力が豊かな方ではない。
射手座らしく未来思考。
「次回はこうする!」っていうけれど、今を生きる私にとっては「今の私のフィーリングが置いてけぼりになってる、大切に扱ってほしい」と感じ、寂しくなる。
でも、ディスカッションすれば、たくさんの意見があってあーだこーだ話すのは楽しくもある。
支離滅裂な文章になったかもしれませんが、この出来事を通じてたくさん学びました。
彼にも、包み隠さずたっぷり思いを伝えました。
あれからかなり改善されている感覚があり嬉しいですが、お互いにとってこれが正しいのかどうかはまだ手探りです。
当たり前ですが、毎日の積み重ねですね!
あ、おかげさまで怪我は随分よくなり、今は大きなカサブタになり、それも剥がれてます。
あれから抗生剤も飲んでいましたし、もう大丈夫なんで安心してください◎
あ、ちなみに。
ギリシャの医療費、ラオくんの保険で賄えたので無料でした(ギリシャは基本的に医療費無料です)!!
薬局で薬代払っただけです。
色々違いすぎて、大変です!!!
景気づけに、笑顔の写真貼っときます◎笑